2018年10月07日(日) コメント:0 トラックバック:0
10/2、「加藤ミリガン・ヨージのツーマンライブ」@阿佐ヶ谷アートスペースプロット鑑賞。
ネタも企画も面白い会だった。
構成はなんとなく三部に分れていた。
(ただし、プロブラムなどが配られたわけではないので、
終演後、あれは、おおよそ三部構成だったのか、と私が勝手に判断したに過ぎない。)
以下、時系列に雑多な感想を記す。
(※注:
鳥頭の私が思い出しながら書いている、
再現率5割以下のほぼ私的な覚書であるので、
鵜呑みにしてはいけません。)
● 一部(前半):加藤ミリガンさんのネタ
加藤ミリガンさんのネタをじっくり拝見するのは初めて。
(何年か前に、長時間にわたって大人数の芸人さんが出演される会で
拝見したはずなのだが、浅い時間帯に比較的短いネタをされたため、内容は忘却。
芸名だけはなんとなく記憶に残っていた。)
ソフトな語り口で、ごく当たり前の日常を語るように、シュールなネタをなさる。
スマート。
クレバー。
(ファッションが)ハイセンス。
大人っぽい。
発声の仕方、演技に安定感がある。
書道に例えるなら、きちんと楷書や行書が書けた上で、草書をなさっている方なのだろう。
水中、それは苦しいや、エモリハルヒコさんのエシバイが好きな人は、
たぶん加藤ミリガンさんも好きになるのではないかと思う。
ネタの具体的な内容は、文字におこしても意味不明で、ライブで見た時の面白さは
1ミクロンも伝わらないと思われるので省略。
(興味を持たれた方は、無精をせずに、ライブに出かけるのがよろしいかと存じます。)
● 一部(後半):ヨージさんのネタ
人物、事象、物事を形容するのに、なにかと言えば、
自分がはまっているコミックやアニメの中のキャラクターやエピソードなどに
当てはめて語ろうとする人たちがいる。
ガンダム、ドラゴンボール、北斗の拳、ワンピースetc.
これらの長編作品のファンがそのよい例だ。
「その人は、アムロタイプ? シャアタイプ? どっち?」
「それは、悟空が〇〇で××した時の状態と同じだね」
などと言われても、それらの作品になじみがない者にとっては、
「なんのことやら」と思うばかりで、反応のしようがない。
だが、そうした有名作品のファンであっても、
全編に渡って等しく情熱を注いでいるというわけではない。
シリーズの特定の時期を偏愛しているのだ。
ガンダムで言えば、彼らファンが作品名を聞いて思い浮かべるのは、
間違いなくファーストガンダムのことだ。
などという導入部があった上で、「ガンダム~アムロ&シャア中学生時代編~」(勝手に命名)
の始まり始まり。
・体育祭エピソード
アムロとシャアは中学の同期生らしい。
体育祭では、アムロが白組、シャアが赤組だ。
シャアは玉入れにはことのほか思い入れがある様子。
玉入れの玉は、傷んでくると、縫い目がほころび、中身がこぼれてくる。
それで、玉が古びてくると、各家庭で新たな玉を作り、持ち寄るという決まりになっていた。
材料は学校から支給されるのではなく、各家庭で用意する。
ゆえに、玉の色合いも、一つ一つ微妙に異なっている。
赤組の玉の中には、小豆色のものもあった。
シャアは、その小豆色の玉に執着し、玉入れが始まると、
まっしぐらにその玉の元に駆け寄り、勢いよくつかみ取ると、
思い切り力を込めて、放り投げたものだ。
※
シャアの小豆色好きは筋金入りだったのか。
(知らんけど。)
玉入れの玉を各家庭で作る話。
かつて、ビートたけし氏が語っていた話を思い出した。
「家のおふくろは、よその家のお母さんより年取ってて、ばあさんだったから、
玉入れの玉作るのに、へんな小豆色の布で玉作っちゃって、それが嫌で、
クラス全員分の玉を集めた時、自分のじゃないみたいな顔して、
『こんな変な色の玉があるぞ!』
と言ったら、ある奴から
『それ、お前が持ってきた玉じゃないか』
と、ばらされて、すごく恥ずかしかった」
という話。
ビートたけし氏は、小学校時代の思い出、として語られていたと記憶しているのだが、
ヨージさんもこの話をどこかで聞かれたのだろうか?
赤組用の玉なのに小豆色になってしまったのは、たぶん家に余っている端切れで作ったからだろう。
(もしも、赤組らしい玉を本気で作る気があるのなら、そして、家にそれにふさわしい布がないのなら、
鮮やかな赤い布を買ってくるはずだ。)
シャアのモビルスーツの色が小豆色っぽいのは、アニメのセル画を制作する段階で、
余っていた絵の具を使ったため、という説があるらしい。
(真偽のほどは定かではないが。)
ヨージさんが、各家庭、アニメ制作会社、それぞれの台所事情をどこまで意識されて
このネタを作られたのかはわからない。
しかし、どちらも、残り物で間に合わせた、というしょぼい理由で小豆色になったと想像できる点に、
せつない、おかしみを感じる。
・ 昭和少女漫画的世界
体育教師が出張中の体育の時間。
本来は男女別に授業を受けるのだが、この時に限り男女混合授業となる。
代理で監督を任された理科教師(だったと思う)に、
体調不良と偽り、授業見学する不良イケメン男子(=シャア)。
上はジャージ、下は学ラン姿で、退屈しのぎにバレーボールを蹴り、一人サッカー遊びを始める。
が、ボールはコントロールを外れ、バレーの試合中の真面目女子の顔面へ。
(バレーボールはサッカーボールより柔らかく、弾みやすいのだ。)
周りの女子達は不良イケメン男子を責めるが、
当の真面目女子は、顔をおさえながらも「大丈夫」と言い、その場をおさめる。
後日、校舎の屋上に呼び出される不良イケメン男子。
呼び出したのは、なんと真面目女子。
目的は言うまでもなく恋の告白だ。
が、不良イケメン男子は、相手の言葉を遮るように話し始める。
「実は、俺には、心に決めた奴がいるんだ…」
失望しかける真面目女子。
「…それは…お前だよ!」
真面目女子大失恋かと思いきや、両想いでハッピーエンド。
チャンチャン。
※
シャアは中学の頃は不良イケメン男子だったのか。
真面目女子と、ちょっとワルでカッコイイ男子のラブストーリー。
ひと昔前の少女漫画的な展開。
いまどき、こんなありきたりな話に胸をときめかせる女子はおるまい。
むしろ、あまりにもベタで、男女問わず思わず吹き出すほどだ。
これは、もはや恋愛ものではなく、立派なコメディだ。
粗筋を語るだけで十分におかしい。
だから、下手に小ネタやダジャレなどは入れ込まない。
ヨージさんは、センスがよくて、頭がいいと改めて思う。
なお、不良男子&真面目女子カップルの話は過去にも語られている。
(真面目女子を自分のバイクの後ろに座らせ、
「俺は好きな女しかバイクの後ろに乗っけないんだけどな」
とぶっきらぼうに言う、不良イケメン男子。
というエピソードがある話だった。)
●二部
演者お二人が、それぞれレジ袋に入ったお米を持って登場。
舞台中央には炊飯ジャーが置かれている。
(開場時からずっと置かれていて、何に使うのか気になっていたのだ。)
ジャーの蓋を開けると、実体験なのか、ネタなのか、
印象的な体験、興味深い出来事などを交互に語る。
片方が語ると、もう片方が、持参したお米を内釜の中に入れる、というシステム。
話が面白いと思えば多目に、それほどでもないと思えば少な目に、と
話の内容に応じて、お米の量は多少変化する。
と言っても、そういう体をとっているだけで、
話の内容とお米の量に必ずしも密接な相関関係が
あったわけでもないような気もする。
ともかく、持参したお米を内釜に入れるのが
主たる目的であったようだ。
適当な量のお米が中に収まったところで、
加藤ミリガンさんがジャーを抱え袖に引っ込み、
二部は終了。
●三部
舞台裏で炊飯の準備を整えていた加藤ミリガンさん、
炊飯ジャーを持って再登場。
(後に語られたところによると、
「米は2合ずつ持ち寄ったのだが、袋に少し残したので、
4合分より少な目に、ちょうどいい水加減にするのが難しかった」
らしい。)
ヨージさん、早炊きモードでスイッチオン。
ここからは二人のネタ対決。
ただし、受けがよかった方が勝ち、という単純な勝負ではない。
双方、同じ持ち時間の間に、短めのネタを交互に披露し、
持ち時間を先に使い切った方が負け、というロシアンルーレット的戦いだ。
そのために使った道具は、ストップウォッチならぬダイソーの目覚まし時計各1個。
まず、各自時計を持ち、制限時間をセット。
そして、ネタを始める時に針をスタートさせ、ネタが終わったら針をストップさせる。
それを交互に繰り返し、先に目覚まし音をさせたほうが負けである。
結果、ルールにのっとれば加藤ミリガンさんの負けにはなったが、
時計の精度に問題があり、実質上は引き分けだった。
次回は時計を改良して再対決とのこと。
(ヨージのライブ予定
2018年10月3日をご参照ください。)
ご飯が炊きあがると、各自持参したお茶碗とお箸で召し上がりながらアフタートーク。
お客は、お二人のお食事風景をただ眺めるのみ。
(まだ夕食をとっていなかった私は、「ああ、お腹すいた……白ご飯おいしそう……」と思っていた。)
「お客さん、もう帰っていいんですよ。
でも、僕らがここにいると帰るきっかけがつかめないから、
引っ込みましょう」
と、お二人、お茶碗とお箸を持ったまま袖に消える。
お客は、それを潮に会場をひきあげる。
<印象に残ったネタ、トーク等>
以下は、二部や三部でなさったネタやトークの中で特に記憶に残ったもの。
どのタイミングでなさったのか、今となってはよく思い出せないため、
アトランダムに記す。
●ヨージさんのネタ
・ディズニーランド(orディズニーシー)について考える
「え? ディズニーランドに行ったことないの? (ディズニー)シーもないの?
そういう人ってさ、人生の半分損しているよね」
バイト先で出会う女子などによく言われる言葉だ。
この言葉が本当だとすると、自分は半分欠けた人間ということなになるのか?
では、ディズニーランドに行けば、倍の自分になれるのか?
ディズニーランドには行ったことがない。
が、この間、多摩動物公園に行ってきた。
入り口付近には昆虫園がある。
そこの本館に入ると、花に擬態するハナカマキリの展示コーナーがあった。
コーナーの前には
「僕の仲間が何匹いるかわかるかな?」
という札がかかっている。
中を覗くと、ピンクの花が5輪咲いている。
隅のほうに目を移すと、なにやらもぞもぞ動くものが見えた。
色がピンクの花に似ている。
ああ、こいつがハナカマキリだな。
ということは、たったの1匹しかいないのか。
随分寂しい展示だな、と少しガッカリした。
が、よくよく見てみたら、ピンクの花だと思っていたものも、やはりカマキリではないか。
つまり、自分が目にしたのは、ピンクの花5輪にハナカマキリ1匹ではなく、ハナカマキリ6匹だったのだ。
この事実を知った時の衝撃。
それと同じものが、ディズニーランドにはあるのだろうか?
小学校三年最後のお楽しみ会。
何人でやるか、何をするか、生徒の自主性を尊重してくれた、
それまでよりも自由度の高い会だった。
色んな出し物があったが、中でも最も受けたのは、女子二人組が演じた男性アイドルショーだった。
他の演技もなかなかの出来で、全員が演じ終わる頃には、結構な盛り上がりとなっていた。
皆がすっかりハイな気分でいたところ、クラス担任が
「では、先生も一つ出し物をしましょう」
と言い、オルガンを弾き、歌いだした。
「♪幸せなら手をたたこう」
生徒だけで十分盛り上がったのに、このタイミングでこれをやるのか。
仕方なしに、全員、おざなりに手をたたく。
次は
「男の子なら 手をたたこう」とか
「女の子なら 手をたたこう」とか
よくあるパターンだ。
しばらくは、いかにもな月並みな歌詞ばかりで、沈滞ムードが漂い始める。
が、
「乳歯が抜けた人は 手をたたこう」
になると、皆の態度が一変し、クラスは俄かに活気づいてきた。
永久歯が生えてきたかどうかは、この年頃にとっては最大関心事なのだ。
その後は、小三の心鷲づかみの歌詞が次々と繰り出され、
クラスのテンションは急激に高まっていった。
そして、最後に、また、一番の歌詞に戻り
「幸せなら手をたたこう」
となった時、どこからか、「ヒィ~~~」という古い扉が開くような音が聞こえてきた。
「手をたたきたくない。幸せだけど……これを歌い終わったら、
この幸せな時間が終わってしまうから……」
と一人の女子が涙声で言った。
(古い扉が開く音は女子の泣き声だったらしい。)
こういう幸せな時間は、ディズニーランドにはあるのだろうか?
※
私はディズニーランドには、確か2回だけ行ったことがある。
どうも、場違いなところにいる違和感を覚え、もう何年も訪れていない。
多摩動物公園にも行ったことはないが、
ディズニーランドvsヨージさんライブなら、断然後者に軍配をあげる。
・逆浦島太郎
このネタは過去にも何度か拝見している。
(拙過去記事
の逆浦島太郎をご参照ください。)
今回は「その話知ってる」、「その紙芝居見た」と、口々に言う幼稚園児たちの描写が細かくて笑えた。
男子1 「俺、100回見た」
男子2 「俺、1000回見た」
男子3 「俺、10000回見た」
男子4 「俺、99999999回見た」
↑
ヨージ心の声「それが本当なら、むしろ、今日、1億回目になることを喜べよ」
女子の一人「私、4回見た」
ヨージの感想
「男子に比べ、女子は現実的だ。
(まだ幼児なのだから)せいぜい2千日くらいしか生きていないだろう」
(すなわち、男子が「見た」と主張する回数は、極めて非現実的だということ。)
※
おバカ男子とは、幼稚園児の頃からおバカ男子なのだ。
・紙芝居タイトル当てクイズ
出題者=ヨージさん
回答者=加藤ミリガンさん
紙芝居(=ヨージさんが、まんだらけで購入された中古品)
の絵だけ見てタイトルを当てる、というクイズ。
1問目は、畑に育った巨大な白い根菜を動物まで参加して大人数で苦労して引き抜く、
という描写のある作品。
加藤さん、自信を持って「大きなカブ」と答える。
が、不正解。
表紙のタイトルを見ると、なんと「おおきなだいこん」。
なるほど、絵をよく見ると、白い根菜は細長く描かれている。
ひっかけ問題か。
気を取り直して2問目に挑戦するも、どうやら有名な昔話や童話ではなく、
オリジナル作品と思しきもので、絵を見てもストーリーはまったく想像できず。
加藤ミリガンさん、あえなく降参。
その後も、シュールな作品ばかりで、手も足も出ず。
これは、誰が挑戦しても当たるとは思えない。
これらの作品を見せられた子供たちは、
果たして楽しめるのか、心が潤うのか、
いささか疑問である。
※
自分が幼児の頃に見た紙芝居のことを思い返してみても、
この話の狙いはどこにあるのだろう?
と不思議な気持ちになったものもあったような気がする。
それから、誇張がすぎて、今考えるとギャグにしか思えないものも。
虫歯予防のメッセージを込めた紙芝居は非常に印象に残っている。
「お母さんの言いつけを守らず、歯磨きを怠り、
お饅頭を食べて、そのまま寝てしまった太郎さんが、
夜中に歯痛で目を覚まし、その痛さに大泣きする」
という話だった。
饅頭1個食べたくらいで、いきなり歯痛になるわけないでしょう。
どんな饅頭なんだ。
それは、もはやただの饅頭ではなく、毒入り饅頭ではないか。
と、大人になった今なら突っ込めるけれど、
当時の私は、
「お饅頭なんて、大嫌いだもん、絶対食べない。だから虫歯になんかならないわ」
と思っていた。
この紙芝居、虫歯予防の教育的効果なしですな。
●アフタートーク(ほんの一部)
主に、お二人の小学、中学時代の思い出話を語るコーナー。
ヨージさん、「マンモス校」「顔に黒子のある先生」の話などを語られる。
マンモス校のネタは最近の単独ライブで聞いたばかり。
「マリリン・モンローと同じ場所に黒子がある先生」のネタも
かつて披露されていた。
※
ヨージさんのネタの何割かは、実体験が元になっていたのか。
加藤ミリガンさんは青森出身。
ヨージさんは茨城出身。
加藤さん曰く。
「ヨージさん、茨城出身と言うけれど、僕から見たら、茨城もバリバリ関東ですよ。
僕が住んでいた辺りでは、ダイエーがある町は都会、という認識でした」
ヨージさん曰く。
「ダイエーがある町を都会と見るか、田舎と見るかは、その人の住む環境によって異なるね」
※
確かに。たぶん、関東圏なら、ダイエーがある町は田舎、という認識だろう。
本当の都会には、ダイエーなどないはずだ。
ネタも企画も面白い会だった。
構成はなんとなく三部に分れていた。
(ただし、プロブラムなどが配られたわけではないので、
終演後、あれは、おおよそ三部構成だったのか、と私が勝手に判断したに過ぎない。)
以下、時系列に雑多な感想を記す。
(※注:
鳥頭の私が思い出しながら書いている、
再現率5割以下のほぼ私的な覚書であるので、
鵜呑みにしてはいけません。)
● 一部(前半):加藤ミリガンさんのネタ
加藤ミリガンさんのネタをじっくり拝見するのは初めて。
(何年か前に、長時間にわたって大人数の芸人さんが出演される会で
拝見したはずなのだが、浅い時間帯に比較的短いネタをされたため、内容は忘却。
芸名だけはなんとなく記憶に残っていた。)
ソフトな語り口で、ごく当たり前の日常を語るように、シュールなネタをなさる。
スマート。
クレバー。
(ファッションが)ハイセンス。
大人っぽい。
発声の仕方、演技に安定感がある。
書道に例えるなら、きちんと楷書や行書が書けた上で、草書をなさっている方なのだろう。
水中、それは苦しいや、エモリハルヒコさんのエシバイが好きな人は、
たぶん加藤ミリガンさんも好きになるのではないかと思う。
ネタの具体的な内容は、文字におこしても意味不明で、ライブで見た時の面白さは
1ミクロンも伝わらないと思われるので省略。
(興味を持たれた方は、無精をせずに、ライブに出かけるのがよろしいかと存じます。)
● 一部(後半):ヨージさんのネタ
人物、事象、物事を形容するのに、なにかと言えば、
自分がはまっているコミックやアニメの中のキャラクターやエピソードなどに
当てはめて語ろうとする人たちがいる。
ガンダム、ドラゴンボール、北斗の拳、ワンピースetc.
これらの長編作品のファンがそのよい例だ。
「その人は、アムロタイプ? シャアタイプ? どっち?」
「それは、悟空が〇〇で××した時の状態と同じだね」
などと言われても、それらの作品になじみがない者にとっては、
「なんのことやら」と思うばかりで、反応のしようがない。
だが、そうした有名作品のファンであっても、
全編に渡って等しく情熱を注いでいるというわけではない。
シリーズの特定の時期を偏愛しているのだ。
ガンダムで言えば、彼らファンが作品名を聞いて思い浮かべるのは、
間違いなくファーストガンダムのことだ。
などという導入部があった上で、「ガンダム~アムロ&シャア中学生時代編~」(勝手に命名)
の始まり始まり。
・体育祭エピソード
アムロとシャアは中学の同期生らしい。
体育祭では、アムロが白組、シャアが赤組だ。
シャアは玉入れにはことのほか思い入れがある様子。
玉入れの玉は、傷んでくると、縫い目がほころび、中身がこぼれてくる。
それで、玉が古びてくると、各家庭で新たな玉を作り、持ち寄るという決まりになっていた。
材料は学校から支給されるのではなく、各家庭で用意する。
ゆえに、玉の色合いも、一つ一つ微妙に異なっている。
赤組の玉の中には、小豆色のものもあった。
シャアは、その小豆色の玉に執着し、玉入れが始まると、
まっしぐらにその玉の元に駆け寄り、勢いよくつかみ取ると、
思い切り力を込めて、放り投げたものだ。
※
シャアの小豆色好きは筋金入りだったのか。
(知らんけど。)
玉入れの玉を各家庭で作る話。
かつて、ビートたけし氏が語っていた話を思い出した。
「家のおふくろは、よその家のお母さんより年取ってて、ばあさんだったから、
玉入れの玉作るのに、へんな小豆色の布で玉作っちゃって、それが嫌で、
クラス全員分の玉を集めた時、自分のじゃないみたいな顔して、
『こんな変な色の玉があるぞ!』
と言ったら、ある奴から
『それ、お前が持ってきた玉じゃないか』
と、ばらされて、すごく恥ずかしかった」
という話。
ビートたけし氏は、小学校時代の思い出、として語られていたと記憶しているのだが、
ヨージさんもこの話をどこかで聞かれたのだろうか?
赤組用の玉なのに小豆色になってしまったのは、たぶん家に余っている端切れで作ったからだろう。
(もしも、赤組らしい玉を本気で作る気があるのなら、そして、家にそれにふさわしい布がないのなら、
鮮やかな赤い布を買ってくるはずだ。)
シャアのモビルスーツの色が小豆色っぽいのは、アニメのセル画を制作する段階で、
余っていた絵の具を使ったため、という説があるらしい。
(真偽のほどは定かではないが。)
ヨージさんが、各家庭、アニメ制作会社、それぞれの台所事情をどこまで意識されて
このネタを作られたのかはわからない。
しかし、どちらも、残り物で間に合わせた、というしょぼい理由で小豆色になったと想像できる点に、
せつない、おかしみを感じる。
・ 昭和少女漫画的世界
体育教師が出張中の体育の時間。
本来は男女別に授業を受けるのだが、この時に限り男女混合授業となる。
代理で監督を任された理科教師(だったと思う)に、
体調不良と偽り、授業見学する不良イケメン男子(=シャア)。
上はジャージ、下は学ラン姿で、退屈しのぎにバレーボールを蹴り、一人サッカー遊びを始める。
が、ボールはコントロールを外れ、バレーの試合中の真面目女子の顔面へ。
(バレーボールはサッカーボールより柔らかく、弾みやすいのだ。)
周りの女子達は不良イケメン男子を責めるが、
当の真面目女子は、顔をおさえながらも「大丈夫」と言い、その場をおさめる。
後日、校舎の屋上に呼び出される不良イケメン男子。
呼び出したのは、なんと真面目女子。
目的は言うまでもなく恋の告白だ。
が、不良イケメン男子は、相手の言葉を遮るように話し始める。
「実は、俺には、心に決めた奴がいるんだ…」
失望しかける真面目女子。
「…それは…お前だよ!」
真面目女子大失恋かと思いきや、両想いでハッピーエンド。
チャンチャン。
※
シャアは中学の頃は不良イケメン男子だったのか。
真面目女子と、ちょっとワルでカッコイイ男子のラブストーリー。
ひと昔前の少女漫画的な展開。
いまどき、こんなありきたりな話に胸をときめかせる女子はおるまい。
むしろ、あまりにもベタで、男女問わず思わず吹き出すほどだ。
これは、もはや恋愛ものではなく、立派なコメディだ。
粗筋を語るだけで十分におかしい。
だから、下手に小ネタやダジャレなどは入れ込まない。
ヨージさんは、センスがよくて、頭がいいと改めて思う。
なお、不良男子&真面目女子カップルの話は過去にも語られている。
(真面目女子を自分のバイクの後ろに座らせ、
「俺は好きな女しかバイクの後ろに乗っけないんだけどな」
とぶっきらぼうに言う、不良イケメン男子。
というエピソードがある話だった。)
●二部
演者お二人が、それぞれレジ袋に入ったお米を持って登場。
舞台中央には炊飯ジャーが置かれている。
(開場時からずっと置かれていて、何に使うのか気になっていたのだ。)
ジャーの蓋を開けると、実体験なのか、ネタなのか、
印象的な体験、興味深い出来事などを交互に語る。
片方が語ると、もう片方が、持参したお米を内釜の中に入れる、というシステム。
話が面白いと思えば多目に、それほどでもないと思えば少な目に、と
話の内容に応じて、お米の量は多少変化する。
と言っても、そういう体をとっているだけで、
話の内容とお米の量に必ずしも密接な相関関係が
あったわけでもないような気もする。
ともかく、持参したお米を内釜に入れるのが
主たる目的であったようだ。
適当な量のお米が中に収まったところで、
加藤ミリガンさんがジャーを抱え袖に引っ込み、
二部は終了。
●三部
舞台裏で炊飯の準備を整えていた加藤ミリガンさん、
炊飯ジャーを持って再登場。
(後に語られたところによると、
「米は2合ずつ持ち寄ったのだが、袋に少し残したので、
4合分より少な目に、ちょうどいい水加減にするのが難しかった」
らしい。)
ヨージさん、早炊きモードでスイッチオン。
ここからは二人のネタ対決。
ただし、受けがよかった方が勝ち、という単純な勝負ではない。
双方、同じ持ち時間の間に、短めのネタを交互に披露し、
持ち時間を先に使い切った方が負け、というロシアンルーレット的戦いだ。
そのために使った道具は、ストップウォッチならぬダイソーの目覚まし時計各1個。
まず、各自時計を持ち、制限時間をセット。
そして、ネタを始める時に針をスタートさせ、ネタが終わったら針をストップさせる。
それを交互に繰り返し、先に目覚まし音をさせたほうが負けである。
結果、ルールにのっとれば加藤ミリガンさんの負けにはなったが、
時計の精度に問題があり、実質上は引き分けだった。
次回は時計を改良して再対決とのこと。
(ヨージのライブ予定
2018年10月3日をご参照ください。)
ご飯が炊きあがると、各自持参したお茶碗とお箸で召し上がりながらアフタートーク。
お客は、お二人のお食事風景をただ眺めるのみ。
(まだ夕食をとっていなかった私は、「ああ、お腹すいた……白ご飯おいしそう……」と思っていた。)
「お客さん、もう帰っていいんですよ。
でも、僕らがここにいると帰るきっかけがつかめないから、
引っ込みましょう」
と、お二人、お茶碗とお箸を持ったまま袖に消える。
お客は、それを潮に会場をひきあげる。
<印象に残ったネタ、トーク等>
以下は、二部や三部でなさったネタやトークの中で特に記憶に残ったもの。
どのタイミングでなさったのか、今となってはよく思い出せないため、
アトランダムに記す。
●ヨージさんのネタ
・ディズニーランド(orディズニーシー)について考える
「え? ディズニーランドに行ったことないの? (ディズニー)シーもないの?
そういう人ってさ、人生の半分損しているよね」
バイト先で出会う女子などによく言われる言葉だ。
この言葉が本当だとすると、自分は半分欠けた人間ということなになるのか?
では、ディズニーランドに行けば、倍の自分になれるのか?
ディズニーランドには行ったことがない。
が、この間、多摩動物公園に行ってきた。
入り口付近には昆虫園がある。
そこの本館に入ると、花に擬態するハナカマキリの展示コーナーがあった。
コーナーの前には
「僕の仲間が何匹いるかわかるかな?」
という札がかかっている。
中を覗くと、ピンクの花が5輪咲いている。
隅のほうに目を移すと、なにやらもぞもぞ動くものが見えた。
色がピンクの花に似ている。
ああ、こいつがハナカマキリだな。
ということは、たったの1匹しかいないのか。
随分寂しい展示だな、と少しガッカリした。
が、よくよく見てみたら、ピンクの花だと思っていたものも、やはりカマキリではないか。
つまり、自分が目にしたのは、ピンクの花5輪にハナカマキリ1匹ではなく、ハナカマキリ6匹だったのだ。
この事実を知った時の衝撃。
それと同じものが、ディズニーランドにはあるのだろうか?
小学校三年最後のお楽しみ会。
何人でやるか、何をするか、生徒の自主性を尊重してくれた、
それまでよりも自由度の高い会だった。
色んな出し物があったが、中でも最も受けたのは、女子二人組が演じた男性アイドルショーだった。
他の演技もなかなかの出来で、全員が演じ終わる頃には、結構な盛り上がりとなっていた。
皆がすっかりハイな気分でいたところ、クラス担任が
「では、先生も一つ出し物をしましょう」
と言い、オルガンを弾き、歌いだした。
「♪幸せなら手をたたこう」
生徒だけで十分盛り上がったのに、このタイミングでこれをやるのか。
仕方なしに、全員、おざなりに手をたたく。
次は
「男の子なら 手をたたこう」とか
「女の子なら 手をたたこう」とか
よくあるパターンだ。
しばらくは、いかにもな月並みな歌詞ばかりで、沈滞ムードが漂い始める。
が、
「乳歯が抜けた人は 手をたたこう」
になると、皆の態度が一変し、クラスは俄かに活気づいてきた。
永久歯が生えてきたかどうかは、この年頃にとっては最大関心事なのだ。
その後は、小三の心鷲づかみの歌詞が次々と繰り出され、
クラスのテンションは急激に高まっていった。
そして、最後に、また、一番の歌詞に戻り
「幸せなら手をたたこう」
となった時、どこからか、「ヒィ~~~」という古い扉が開くような音が聞こえてきた。
「手をたたきたくない。幸せだけど……これを歌い終わったら、
この幸せな時間が終わってしまうから……」
と一人の女子が涙声で言った。
(古い扉が開く音は女子の泣き声だったらしい。)
こういう幸せな時間は、ディズニーランドにはあるのだろうか?
※
私はディズニーランドには、確か2回だけ行ったことがある。
どうも、場違いなところにいる違和感を覚え、もう何年も訪れていない。
多摩動物公園にも行ったことはないが、
ディズニーランドvsヨージさんライブなら、断然後者に軍配をあげる。
・逆浦島太郎
このネタは過去にも何度か拝見している。
(拙過去記事
の逆浦島太郎をご参照ください。)
今回は「その話知ってる」、「その紙芝居見た」と、口々に言う幼稚園児たちの描写が細かくて笑えた。
男子1 「俺、100回見た」
男子2 「俺、1000回見た」
男子3 「俺、10000回見た」
男子4 「俺、99999999回見た」
↑
ヨージ心の声「それが本当なら、むしろ、今日、1億回目になることを喜べよ」
女子の一人「私、4回見た」
ヨージの感想
「男子に比べ、女子は現実的だ。
(まだ幼児なのだから)せいぜい2千日くらいしか生きていないだろう」
(すなわち、男子が「見た」と主張する回数は、極めて非現実的だということ。)
※
おバカ男子とは、幼稚園児の頃からおバカ男子なのだ。
・紙芝居タイトル当てクイズ
出題者=ヨージさん
回答者=加藤ミリガンさん
紙芝居(=ヨージさんが、まんだらけで購入された中古品)
の絵だけ見てタイトルを当てる、というクイズ。
1問目は、畑に育った巨大な白い根菜を動物まで参加して大人数で苦労して引き抜く、
という描写のある作品。
加藤さん、自信を持って「大きなカブ」と答える。
が、不正解。
表紙のタイトルを見ると、なんと「おおきなだいこん」。
なるほど、絵をよく見ると、白い根菜は細長く描かれている。
ひっかけ問題か。
気を取り直して2問目に挑戦するも、どうやら有名な昔話や童話ではなく、
オリジナル作品と思しきもので、絵を見てもストーリーはまったく想像できず。
加藤ミリガンさん、あえなく降参。
その後も、シュールな作品ばかりで、手も足も出ず。
これは、誰が挑戦しても当たるとは思えない。
これらの作品を見せられた子供たちは、
果たして楽しめるのか、心が潤うのか、
いささか疑問である。
※
自分が幼児の頃に見た紙芝居のことを思い返してみても、
この話の狙いはどこにあるのだろう?
と不思議な気持ちになったものもあったような気がする。
それから、誇張がすぎて、今考えるとギャグにしか思えないものも。
虫歯予防のメッセージを込めた紙芝居は非常に印象に残っている。
「お母さんの言いつけを守らず、歯磨きを怠り、
お饅頭を食べて、そのまま寝てしまった太郎さんが、
夜中に歯痛で目を覚まし、その痛さに大泣きする」
という話だった。
饅頭1個食べたくらいで、いきなり歯痛になるわけないでしょう。
どんな饅頭なんだ。
それは、もはやただの饅頭ではなく、毒入り饅頭ではないか。
と、大人になった今なら突っ込めるけれど、
当時の私は、
「お饅頭なんて、大嫌いだもん、絶対食べない。だから虫歯になんかならないわ」
と思っていた。
この紙芝居、虫歯予防の教育的効果なしですな。
●アフタートーク(ほんの一部)
主に、お二人の小学、中学時代の思い出話を語るコーナー。
ヨージさん、「マンモス校」「顔に黒子のある先生」の話などを語られる。
マンモス校のネタは最近の単独ライブで聞いたばかり。
「マリリン・モンローと同じ場所に黒子がある先生」のネタも
かつて披露されていた。
※
ヨージさんのネタの何割かは、実体験が元になっていたのか。
加藤ミリガンさんは青森出身。
ヨージさんは茨城出身。
加藤さん曰く。
「ヨージさん、茨城出身と言うけれど、僕から見たら、茨城もバリバリ関東ですよ。
僕が住んでいた辺りでは、ダイエーがある町は都会、という認識でした」
ヨージさん曰く。
「ダイエーがある町を都会と見るか、田舎と見るかは、その人の住む環境によって異なるね」
※
確かに。たぶん、関東圏なら、ダイエーがある町は田舎、という認識だろう。
本当の都会には、ダイエーなどないはずだ。
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